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開発部の高松です。

質問対応チームから、毎回同じような質問が有るという事で、そこそこかじった高松が回答します。

俗に言う安物ROMライターですが(中国製)わざわざ高額なROMライターが無くても安物でも読み書きできる。

という方がおりますが、私共技術者的には一番信用できないライターです。

理由は長くなるので書きません。

ただ、大体、そこそこ機能するのが安物ライターです。

良くFlashi-ROMにSOPクリップを接続して読み出したら、毎回中身が違うという質問が来ます。

これは安物だから?という回答をすればそれで終わるのですが、では何故という疑問に回答します。

Flashi-ROMは主に2.5V~3.3Vが電圧範囲です、ですが安物ROMライターは1個10円足らずの定電圧レギュレーターを使いません。

抵抗を使い分圧します、ですので、USB側が毎回確実に100% 5Vで有れば良いですが、変動している場合

Flashi-ROM側の電圧も変動します、元の基準電圧が変動するので、Flashi-ROM側も変動します。

高額なROMライターはUSBーBポート付近にDC-DCが有り、USB-5Vを12Vに昇圧し各電圧を取り出しています。

まずここが安物と高額なROMライターとの差です。

また安物ROMライターは1Chipで構成されています、唯一USB通信用に12Mhzのクリスタルが有りますが

そこからソフト演算とPWMを使いFlshi-ROMにクロックを送っていますが、これが案外やばいです。

本来DDS等のクロックを使いFlashi-ROMと通信用クロックを指定します、あくまで範囲内の時も有れば範囲外の時も有る

というのが安物ROMライターです。

高額なROMライターはDDSが数個入っています、このDDSって何?と言われると思いますが。

DDS → ファンクションジェネレーター若しくはシグナルジェネレーターと言います、つまり完全なクロックを作り出すもので

計測器の世界では1千万するDDSも存在します、民生の世界でROMライターでもDDSは100万ぐらいします。

つまり安物は、電圧が変動する、クロック基準がおかしいという事になります。

そこに来て安物ROMライターは信号ラインにアイソレーターが有りません。

このアイソレーターは賛否両論ですが、無いより有った方が確実なんです、実は読み書きしているの信号は

基準クロックをベースにFlashi-ROMから信号で送られます、BUS(バス)ではありません。

FAXの音的なアナログなんです、ただ基準がずれ、尚且つ本来あり得ないエッジ信号が出たときそれはFFと解釈されます。

ピーク電圧でFFになるわけです、アイソレーターが有れば、各Flashi-ROMのIDからプロファイルを読み込み

ピークフィルターが機能しアイソレーターで上限ピークをカットします。

実はFlashi-ROM内のデーターは目視するにはエディターに入れて初めて可視化されます。

ROMライター性能でこれらが全自動で書き換わるという現象が起きる安物と、絶対起きない100%読み書きできるライターとの差です。

知識ある人は安物は買いません、利益重視や売りっぱなしで有れば問題有りません。

ただ業務として使うのであれば最低2万円最大80万程のROMライターを買う事をお勧めします。

特にPC関連は客から預かったPC等でBiosイメージが手元に無く、PCから取り出しそれらを改造して納品する場合等

曖昧な動作しかしないROMライターは私共は怖くて使えません。

さて前置きはこのへんにしておいて、パナPCでFlashi-ROMから取り出しできないという質問に回答します。

それは対策基盤だから・・・これで解決、でも納得しませんよね、ここから技術的なお話になります。

頭痛くなる人は書籍などを買って勉強してください。

<Flshi-ROM>

Flshi-ROMってUSBメモリーと同じです、USBメモリーはコントロールチップとFlashi-ROMで構成されています。

PC内のFlashi-ROM構成も同じです。

Flashi-ROMに通信するには以下の信号が必要です。

/CS
MOSI
MISO
SCK

Vcc
GND

私的には楽勝な内容ですが、活字にして説明するより、WEB上のリンクを貼ります。
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/articles/introduction-to-spi-interface.html#

Flashi-ROMにアクセスするにはSPI通信というプロトコルを使い通信します。

上記で記載した基準周波数は[クロック(SPI CLK、SCLK)]です、このクロックがずれると、おかしな事が起きます。


パナの新しいPCは(対策されている)対策もされていますが、根本的な理由は静電気でFlashi-ROM上のデーターを壊さない為

です、PCの外部I/O、USBやHDMI、イヤフォン端子、VGA等外部から静電気による破損が多いい為

PCの電源がOFF時にはMOS-FET経由でGNDに落としています、通信で必要な(/CSやMOSIやMISOやSCK)等です。

Flashi-ROMにSOPクリップを繋いで安物のROMライターで取り出しを行っても、認識しないとか

データーが化けるとかは全てこれです、だってPC電源OFF時にはGND(アース)化していれば静電気で壊れないモン

これが理由です。

SOP-8の足全て抵抗経由でGNDに接続されています。

つまりこの場合クリップでは手出しできません、私共はクリップは使いません、全て半田です。

半田は敷居が高いと思いますが、SOPクリップで間違ったBiosデーターを解除してPCに間違った状態で書き込み

起動しなくなる方がもっと怖いです。

確実な解除ではありません、だって読み出し段階で間違っている情報を何を根拠に信用してそれを解除するのか

不思議です、信用できない方はデジタルテスターで見てみればよく分かります。

その為何故安物ROMライターを信用できないかそれは。

①:電圧が不安定
②:クロックが不安定
③:ピークアイソレーターが無い
④:間違った情報でも読み込んでしまう
⑤:知る人が見ると、鼻で笑ってしまう
⑥:動作の信ぴょう性がほぼない

高価なROMライター

<デメリット>
①:価格が高い [本体2万~最大1900万とか]
②:エディターソフトが別売 [1万~解析が入ると2千万程]
③:プロトコル、ステータス情報が別売り 
(標準で1万個)追加すると100万個の石が読み書きできる
④:専用ソケットが高額 (1万~90万弱)
⑤:以上にガタイが大きいい、AC電源が必要など

<メリット>
①:読み書き確実、100%信用できる
②:エラーを自動修正するので、データー化けが起きない
③:MOD等のチップに対応していて標準で数万個単位のROMが使える
⑤:同業に自慢できる(車みたいな世界)
⑥:知る人が見れば、思わずオ~って声が出る。

今回はROMライターですが、道具1つ1つ高額で有れば良いというのではなく、問題は作業する方が使いこなせるかという事です。

使いこなすには、それ相当に学習が必要で、安物はここがダメという事をわかれば、自ずと使わなくなります。

もう1点質問されているので、再度コメントを書きます。

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